随分と前から自前の燻煙材を作るために燻煙窯を作ろう考えていたがやっと昨年9月に完成させた、ネットである程度の知識は得ても設計をすることは難しくいつも通り適当に現物合わせで作ることにした。とりあえず使わなくなった畳一畳ほどの古い物置を再利用することにしてまず煙の漏れないように穴をふさぎ、熱が逃げないように断熱材で覆ってあとは薪ストーブを入れて煙突をつける。文章にすればこれだけですがあれこれ考えながら結構長い時間がかかりました。

1回目テストは昨年9月に火入れをしました、充分に囲ったつもりでもやはり少し煙が漏れるので火事騒ぎにならないように事前に消防署に届け出を済まして作業を開始した。

窯の容量は材料エレキギター6本分くらい入ると思っていたのですが実際は4本分しか入りませんでした。40時間連続で火を絶やすことなく終えることができた。

途中仮眠も5回くらいはできて心配していたのがウソのようにあっけなく終了した。

2回目は1月中旬1年で一番寒い季節なので温度が上がるようにそれなりの工夫を凝らして作業を開始したが寒くて仮眠が上手に取れないため24時間ほどで終了1日間をおいてもう一度火を焚いたがまた24時間で終えた。1回目は考えていたより楽に終えてその成果も何となく良い出来栄えの感じを持っていたが2回目は難儀をしたのに達成感がなかった、温度を上げるために火力を強くしたため材料に不良品が出た。

これ等の経験をもとに窯を全面的に改良して作り変え3回目の火入れ実験を2月中に済ます予定でいたのですが腰痛で1週間休みその後風邪を引いてまた1週間休むことになって3回目の実験を終えたのは3月12日。体調もよく燃焼時間も30時間1日おいて30時間と自分の予定した通りに作業は進めることができて満足している。

新しい窯も材料は上手に入れても5台分くらいしか入りません、懸案の煙対策は万全でほとんど漏れない、温度もある程度コントロールできるように工夫をしたが本格的に作業をするにはもう一回り大きい窯を作らないと効率が悪すぎる。

私がネットで見る限り燻煙をしているギター製作家は5人。横浜の松下さんと恵那の勝田さん。あと野村研究所で私と一緒にグループ研究をしている奈良の丸山さん、丹波の田中さん、と平山さん。バイオリン制作家で高槻の岩井さん福岡の真鍋さん、くらいです。

野村研究所のグループ研究会は大体半年で1回程度の集まりで開催されたのはまだ2回、間もなく3回目の案内が頂ける頃だがまだ届いていない、研究所では燻煙材を「熱化学還元材」と名称を付けて燻煙と区別しているが私の窯で加工したものは熱化学還元材と言うのはちょっと憚る感じするので私は一般的な名称の「燻煙材」でやっていきたいと考えている。

その研究会で私も具体的な報告するためのギターを作っているがゴールデンウイークまで掛かりそうで少し焦っている。

作っているのはオリジナルギターでその違いを確かめようと同じ形のギターを二本作るために同じ材料を切り分けて、片方をそのままでもう片方は燻煙加工をして作る予定で準備しています。

経験 知識ともに一番は横浜でギター製作活動をしている松下さん、この方のブログを見つけたのは一昨年の春頃だと思う。とても驚いたことに1982年から燻煙の研究を始めたようでもう30年以上続けていることになる、なんと前回記事に書いた菅岡健司氏と同じ時期だ。当然結果に満足している様子がうかがえるがどのようにして燻煙加工をされているかはホームページを見る限りでは全く分からない。

恵那の勝田さんは最近東京ギターフェス展のホームページで見つけた。この方も燻煙を始めて3年目になると書いてある。ギター製作間もない人の様だが今までの多彩な経験から燻煙が良いと考え研究を続けて今日に至っている、この方は写真で燻煙方法をかなり詳しく紹介していていい結果を出している模様がホームページで紹介されている。

今年はギターフェス展に久しぶりに見学に行く予定をしているのでぜひ話をしてみたいと思っている一人です。

つづく