P2090041最近燻煙木材の制作に嵌っている。
昔から山火事で焦げた木は狂わないといわれていたようで煙で燻すことを考えていた人は大勢いたのではないか。
現在考案されている大まかな工程は丸太のまま燻煙炬に入れて何日か木くずとか廃材を燃やし続ける、取り出して製材をしてもう一度燻煙炬にいれて再び何日か燻し続けてその後自然乾燥が一番良い方法のようです。こうして燻煙処理(熱と煤などによる化学変化)をした木材は捻じれとか歪が出ないとされています。

私がネットで調べた限り一番早く燻煙乾燥の研究に取り掛かった人は青森の菅岡健司氏(古代人スガオカ代表))で30年ほど前白川村を訪れたとき昔の家が長持ちをする理由を知りたくて囲炉裏の煙を持ち帰り分析、煙の成分に防虫剤防錆剤の成分が含まれていることが分かり以来木くずや廃材などを燃料に燻煙乾燥材作りに取り組んできた。
2005年10月に愛知県設楽町の山中に三河の炭焼き名人と言われた人と組んで新型乾燥装置を作り8日火入れを行ったという新聞のスクラップ(当時関心があったので)が手元にある。
1995年青森の三内丸山遺跡に文化省から依頼で掘立て柱を燻煙材で復元された。

次に見つけた人は元京都大学教授で現在野村研究所代表の野村隆哉氏、この方にはずいぶん世話になった。自分の考えがまとまらないのでとにかくサンプルになるものがほしくて一昨年夏訪問した、そこで見せて頂いたサンプルや写真などの資料に触れることができて燻煙技術が将来きっと楽器材料の必修技術になると思った。
さらにサンプルも無償で提供していただき燻煙材楽器制作のきっかけを作っていただいた方です。

そもそも燻煙をやろうと思い立ったのは相当前でその時は煤竹を手本にして考えていた。何時か工場が持てたとき屋根裏に材料を並べて暖房にまきストーブで廃材や大鋸屑を燃やして何年か続ければ出来るような気がしていた。
くりぬき加工の方法をいろいろと考えていたころで20年以上前の話で当時はまだぼんやりしたものだった、知人に雅楽の演奏者がいて笙や篳篥の話の中で煤竹製の雅楽器が特別な製品あること知った。音色や仕上がりの色艶が素晴らしいことと何より材料が高いため製品の売価がものすごく高いために中々買うことができないと彼らは嘆いていた。

これは蛇足だが秋田名物で「いぶりがっこ」という大根漬物がある、その作り方が燻製材を作る要件に当てはまるような気がして作業の参考にしている。
日照時間の少ないため大根を外で自然乾燥できないために考え出されたらしい、適当な広さのある小屋に大根をつるして下から焚火をして干すのだが幾日か温度を下げないで火を焚き続けなければ味が悪くなるので管理が大変であると若いとき聞いたことがあって燻煙材作りも同じ考えでやろうとしている。
(つづく)